子どもと妊婦に忍び寄るマイクロプラスチックの影響
「子どもは未来」とよく言われますが、その未来にマイクロプラスチックの影響が忍び寄っているとしたら、どう思われますか?
今回は、子どもや妊娠中の女性にとってのマイクロプラスチックのリスクについて、最新の研究や日常生活の中で気をつけたいポイントを交えて解説します。
大人よりも体が小さく、解毒や代謝の機能が未発達な子どもや胎児。
そんな彼らは、少量の化学物質でも大きな影響を受けやすいという特徴があります。
マイクロプラスチックには、以下のような「化学物質」が含まれたり、吸着されたりしています:
これらが体内に取り込まれると、成長過程の子どもの発達に支障が出る可能性があるとされています。
🧪 出典:Wang et al., 2021
“Microplastics as a vehicle for toxic chemicals in children’s health”
Environmental Science & Technology
2020年、イタリアの研究チームが妊婦の胎盤からマイクロプラスチックを検出したという報告を出しました。
つまり、胎児が母体を通じてマイクロプラスチックに曝露している可能性があるのです。
検出されたのは、
この研究では、胎盤4件中4件で検出されており、もはや“まれなこと”とは言えません。
📄 出典:Ragusa et al., 2021
“Plasticenta: First evidence of microplastics in human placenta”
Environment International
https://doi.org/10.1016/j.envint.2020.106274
子どもたちは「手を口に入れる」「床に落ちたものを口にする」など、マイクロプラスチックを取り込みやすい行動を自然にとってしまいます。
また、次のような日常品にも注意が必要です:
→ 温めることで数百万個単位のマイクロプラスチックが溶出することが報告されています
(Li et al., 2020)
→ 容器からの溶出・汚染の可能性
→ 摩耗によって微細な粉が生じ、吸い込まれることも
研究はまだ始まったばかりですが、以下のような影響が指摘されています:
→ 成長ホルモンや性ホルモンの働きに影響
→ アレルギー体質や感染症リスクの増加
→ 子ども特有の下痢・便秘や発達リスクにも関連
→ ADHDや自閉スペクトラム症との関係が懸念されている研究も
🧠 出典:Prüst et al., 2020
“Potential neurodevelopmental toxicity of micro- and nanoplastics”
Neurotoxicology
胎児への影響を最小限にするために、次のような対策が有効です:
✅ 食べ物はできるだけ無包装・自然素材で
→ 布袋や瓶詰、紙包装を使うなど工夫を
✅ ペットボトルではなく、浄水やガラスびんで水分補給
→ 赤ちゃんにも影響が少ない選択を
✅ プラ製の食器や調理器具は避ける
→ 加熱調理での化学物質溶出を防ぐ
✅ 空気清浄・換気を意識する
→ 室内のハウスダストに含まれるマイクロプラスチックを吸わないように
マイクロプラスチックを“完全に避ける”ことは現代社会では困難です。
だからこそ、少しでも「取り込まない工夫」を知り、選ぶ力を育てることが大切です。
たとえば:
そんな親子の会話の中で、未来を守る習慣が育っていくのです。