マイクロプラスチックと脳の健康——集中力・記憶力・認知機能への影響とは?
「最近、物忘れが増えた気がする」「なんとなく集中力が続かない」──。
それは年齢のせいだけではないかもしれません。
近年の研究で、マイクロプラスチックが“脳”にも影響を与える可能性が報告されはじめています。
第6回となる今回は、マイクロプラスチックと神経系・認知機能の関係について、最新の情報と対策をお伝えします。
これまで「消化管までで止まる」と考えられていたマイクロプラスチックですが、最近では、
という研究結果が相次いで発表されています。
🧠 出典:Leslie et al., 2022
“Discovery and quantification of plastic particle pollution in human blood”
Environment International
人間の血液中や胎盤、さらには脳組織からも微細なプラスチック粒子が見つかったという報告もあり、科学者の間でも緊急性が高まっています。
マイクロプラスチックが体内に取り込まれると、次のような影響が脳に及ぶと考えられています。
プラスチック粒子が脳内に入ると、神経細胞の周囲で炎症が起きやすくなる。
これは「神経炎症」と呼ばれ、アルツハイマー型認知症やうつ症状との関連が示唆されています。
細胞が“サビる”原因とも言われる酸化ストレス。マイクロプラスチックは、細胞の酸化ダメージを促進する可能性があると報告されています。
脳内の神経伝達に必要な**シナプス(情報のやり取り部分)**に影響が出ると、記憶力や学習力が低下する可能性があります。
🧪 出典:Chen et al., 2022
“Polystyrene microplastics exposure induces neurotoxicity in mice”
Journal of Hazardous Materials
2022年に中国の研究チームが行った動物実験では、
つまり、脳に直接的なダメージを与える可能性があるというのです。
📄 出典:Chen et al., 上記論文より
もちろん、人間での研究はまだ限られていますが、初期の知見として注意すべき内容だといえるでしょう。
女性の脳はエストロゲン(女性ホルモン)によって守られている側面があります。
エストロゲンには以下のような脳への働きがあると知られています:
しかし、マイクロプラスチックに付着する内分泌かく乱物質(BPAなど)はこのエストロゲンの働きを邪魔する可能性があります。
つまり、プラスチックの影響で脳が“老けやすく”なることも懸念されているのです。
🧠 出典:Gore et al., 2015
“EDCs and brain development”
Endocrine Reviews
ホルモンバランスが変化しやすい中年期は、脳も揺らぎやすい時期。
そのうえ、環境要因(マイクロプラスチック)まで加われば、
この時期こそ、「脳を守る暮らし方」を意識したいですね。
→ プラ製タンブラーの代用に。
→ 電子レンジ調理もガラス容器推奨。
→ 木製や金属製を持ち歩き用に。
→ ポリエステル素材の衣類・寝具の摩耗を減らし、空気清浄機を活用。
また、脳の健康を守るには以下のような習慣もおすすめです:
次回(第7回)では、「マイクロプラスチックと腸内環境」の関係に迫ります。
腸のバリア機能や免疫との関係、そして“腸から始まる健康”を守るコツをお届けします。