マイクロプラスチックと腸内環境——見えない侵入者が腸のバリアを壊す?
最近、お腹の調子が悪い。便秘や下痢、ガスがたまりやすい——。
実はその原因が「マイクロプラスチック」かもしれません。
今回は、マイクロプラスチックと腸内環境の関係に注目します。
腸は“第二の脳”と呼ばれるほど、心身の健康に大きな影響をもっています。
だからこそ、腸内環境の乱れは、私たちの健康に深く関わってくるのです。
腸は、口から入ったものが最後にたどりつく消化器官。
栄養を吸収し、不要なものを排出する大切な場所です。
同時に腸は、「体に入れていいものかどうか」を**チェックする“免疫のセンサー”**の役割も担っています。
しかし、マイクロプラスチックがこの“防波堤”を壊しつつあるというのです。
マイクロプラスチックが腸内に侵入すると、次のような問題が指摘されています。
腸の内側は“バリア構造”になっており、異物をブロックしています。
しかし、マイクロプラスチックの刺激や付着している化学物質によって、
この状態は**「リーキーガット症候群」**と呼ばれ、アレルギーや自己免疫疾患、慢性炎症の原因と考えられています。
🧪 出典:Jin et al., 2019
“Polystyrene microplastics induce gut barrier dysfunction in mice”
Particle and Fibre Toxicology
腸内には、100兆個以上の細菌がすみつき、私たちの消化・免疫・精神状態を支えています。
このバランスをマイクロプラスチックが乱す可能性があることも明らかになってきました。
→ 炎症や便通トラブルの原因に。
→ 腸の修復力が落ちる。免疫力も低下。
→ 腸内環境の乱れは、脳機能やメンタルヘルスにも影響を及ぼします(腸-脳相関)。
🧠 出典:Fackelmann & Sommer, 2019
“Microplastics and the gut microbiome: emerging connections”
Environmental Pollution
マイクロプラスチックの多くは食べ物と一緒に腸へ届きます。
→ 数百〜数千個の粒子が含まれることも。
(Mason et al., 2018, Orb Media調査)
→ 包装から微粒子が食品に移ることがある。
→ 消化器官ごと食べるため、プラスチック粒子が体内に入りやすい。
中高年女性は、腸内環境の変化を感じやすい時期です。
そんなときにマイクロプラスチックが加わると、腸内の悪化が加速してしまう可能性があるのです。
腸は、数日でも環境が変わる柔軟な臓器です。
今日からでも遅くありません。次のような習慣を取り入れてみてください。
→ 野菜やお肉は紙包みやリユース容器で購入。
→ 納豆・味噌・ぬか漬けなどが腸内細菌をサポート。
→ 海藻・きのこ・大豆など、腸内細菌のエサに。
→ ペットボトルの使用頻度を減らす。
→ 深呼吸、軽い運動、睡眠で腸も休める。
腸を守ることは、肌・心・体・脳の健康を支える基本でもあります。
小さな選択が、未来の自分を守る一歩になります。
次回(第8回)は、「子どもや妊婦さんとマイクロプラスチック」のテーマでお届けします。
小さな命への影響を、今こそ知っておきたいですね。