マイクロプラスチックとホルモンバランスの乱れ——女性の体はなぜ影響を受けやすいのか?
「なんとなく体がだるい」「イライラしやすい」「月経のリズムが乱れてきた」──。
こうした体調の変化は、年齢だけではなく、外から入ってくる“化学物質”の影響も関係しているかもしれません。
今回は、マイクロプラスチックに付着した有害物質と、女性のホルモンバランスとの関係について、最新の研究を交えながらわかりやすくご紹介します。
マイクロプラスチックそのものだけでなく、実はそれに付着している化学物質に注目が集まっています。
とくに次のような物質が、体に悪影響を与える可能性があると指摘されています:
これらは“内分泌かく乱物質(環境ホルモン)”とも呼ばれ、女性ホルモンの働きを邪魔する可能性があるのです。
🔍 出典:UNEP(国連環境計画)2022年報告書「Chemicals in Plastics」
特にビスフェノールAやフタル酸は、エストロゲン(女性ホルモン)と似た構造をもつことが知られています。
体内に入ると、次のようなトラブルの原因になることが指摘されています:
🧪 出典:Harvard T.H. Chan School of Public Health(2023)
“Exposure to endocrine-disrupting chemicals may impact reproductive health in women”
また、これらの物質は妊娠中に胎盤を通過することも確認されており、胎児や乳児への影響も懸念されています。
「ほんのわずかの量なら大丈夫じゃないの?」と思う方もいるかもしれません。
しかし、ホルモンはもともと微量で働くもの。つまり、ごく微量の環境ホルモンでも体のバランスを崩す可能性があるのです。
さらに、これらの物質は「蓄積型」。一度入ったらすぐには出て行かず、少しずつ溜まっていく性質があるため、毎日のちょっとした摂取が将来的に大きな差を生むと考えられています。
🧪 出典:WHO & UNEP 2013年報告書「State of the Science of Endocrine Disrupting Chemicals」
では、どんな場面でマイクロプラスチック由来の化学物質を体に取り込みやすいのでしょうか? 以下のような例が挙げられます:
→ 高温になるとBPAなどが溶け出しやすい。
→ 包装フィルムやトレーから溶出する可塑剤。
→ 皮膚からの吸収、粘膜付近の使用に注意。
→ 摩耗や洗濯時にナノサイズが空気中へ。
こうした「日常の積み重ね」が、気づかぬうちにホルモンバランスに影響している可能性があります。
ホルモンバランスを守るために、今日からできることはたくさんあります。
→ ガラス瓶・陶器容器・紙包装などを選ぶ。
→ プラスチック容器に入れたまま加熱しない。
→ 安心できる原材料のものを選ぶ。
→ 微粒子の飛散を減らす。
特に中高年の女性はホルモンの変化が大きくなる時期。
だからこそ「知らずに取り込む」を防ぐことが、将来の健康を守る第一歩になります。
次回(第6回)では、マイクロプラスチックと「脳」や「認知機能」との関係について取り上げます。
集中力の低下や不眠、記憶力との関わりを科学的に解説していきます。