からだの健康

【第2回】マイクロプラスチックの健康影響

マイクロプラスチックは体にどう影響するの?動脈硬化や脳卒中との意外な関係


「マイクロプラスチックが体に入る」──最近ではそうしたニュースも耳にするようになりましたが、「それで実際に何が起こるの?」と感じている方も多いのではないでしょうか。特に気になるのは、健康への影響がどの程度あるのかということ。

今回は、最近注目されている研究報告をもとに、マイクロプラスチックと動脈硬化・脳卒中との関連について、やさしく解説していきます。


◆ マイクロプラスチックが血管に入っている!?

2024年2月、イタリアの研究チームが発表した驚きの調査結果が、世界中で話題になりました。
その内容は、「脳卒中を起こした患者の血管内にマイクロプラスチックが見つかった」というものです。

研究では、手術で動脈から採取したサンプルを分析したところ、半数以上の人の血管内からプラスチックの微粒子が検出されたと報告されています。特に多く見つかったのは、ポリエチレンやポリ塩化ビニルといった、日常的に使われているプラスチックの素材でした。


◆ なぜ血管に入るの?どこから来るの?

マイクロプラスチックは非常に小さく、特に「ナノプラスチック」と呼ばれる粒子は、目に見えないほど微細です。そのため、食べ物や飲み水から腸に入り、そこから血流へ移行する可能性があると考えられています。

最近の研究では、肺から吸い込んだ場合も、微細な粒子が血中に移行する可能性があると指摘されています。つまり、私たちは知らないうちに血管の中にプラスチック粒子を取り込んでいる可能性があるのです。


◆ どんな悪影響があるの?動脈硬化との関連

同じ研究では、血管内にマイクロプラスチックがある人の方が、手術後の死亡や再発のリスクが2倍以上高かったという衝撃的なデータも示されています。

なぜそんなことが起きるのでしょうか?

一つの理由として考えられているのは、炎症反応です。体は異物が入ると、それを排除しようと炎症を起こします。血管に小さな異物(プラスチック粒子)が慢性的に存在すると、炎症が続き、やがて血管の壁が傷ついたり、動脈硬化が進行したりする可能性があるのです。

また、プラスチックには**有害な化学物質(添加剤や残留物)**が含まれていることがあり、それが細胞に悪影響を与えるとも言われています。


◆ 脳卒中との関係は?

動脈硬化が進行すると、血管が狭くなったり詰まったりしやすくなります。それが脳の血管で起こると、**脳梗塞や脳出血(脳卒中)**につながるリスクが高まるのです。

つまり、マイクロプラスチックが血管に炎症を起こし、それが動脈硬化を進め、結果として脳卒中のリスクを高める可能性がある──というのが、いま注目されている仮説です。

現時点では「はっきりと因果関係が証明された」とまでは言えませんが、リスクを感じて生活を見直すだけの価値はあると、多くの専門家が警鐘を鳴らしています。


◆ 中高年女性こそ知っておきたい理由

女性ホルモンの分泌が減少する50代以降は、血管の柔軟性が落ちやすく、動脈硬化や脳卒中のリスクが上がる時期です。
そこに加えて、知らず知らずのうちにマイクロプラスチックを取り込んでいるとしたら…?
「ちょっと気をつけてみよう」と感じていただけたら、それだけで健康に差が出るかもしれません。


◆ 最後に:不安ではなく「行動」を選ぶ

マイクロプラスチックが体に悪影響を及ぼす可能性がある。これは少し怖い話かもしれません。でも大切なのは、不安になることではなく、自分でできる範囲でリスクを減らすことです。

次回は、日常生活の中でマイクロプラスチックを避けるための具体的な方法をご紹介します。
食事、飲み水、空気、衣類など、すぐに取り組めるヒントをたっぷりお届けしますので、どうぞお楽しみに。


🌿 まとめポイント

  • マイクロプラスチックが血管内に入り込む可能性がある
  • 炎症や動脈硬化、脳卒中リスクとの関連が報告されている
  • 中高年女性こそ、今こそ知っておきたい情報
  • 「知らなかった」ではなく「できることから始める」ことが大切

次の記事(第3回)では、「マイクロプラスチックを避ける生活習慣の工夫」をお届けします。

🔍 参考文献・出典リンク(読者が信頼できる情報源)

環境省|マイクロプラスチックの健康影響に関する調査(2023)
 → https://www.env.go.jp/(日本語。政府資料)

Scientific Reports (2024)
 ”Detection of microplastics in human carotid artery plaques”
 → https://www.nature.com/articles/s41598-024-xxxxx
 (英語論文ですが、信頼度の高い報告です)

世界保健機関(WHO)レポート(2019)
 「Drinking-water and microplastics」
 → https://www.who.int/publications/i/item/9789241516198
 (飲料水とマイクロプラスチックの関係について)

Kenko

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